鰻を裂けるようになるまで3年かかると言われている。生きたままの鰻の首を打って、素早く裂く。これが経験のない職人だと、弱らせて裂いたり、冷やして仮死状態にして裂かなければならないため、活きの良い味わいを殺してしまう。鰻に痛みを感じさせずに、一瞬で裂いてしまう熟練の技で、鮮度の良い旨さを封じ込めた身となる。
串打ちは一人前になるのに、8年かかるといわれている。それは、この後の過程である蒸しと焼きに深く関わるため。タレの味が乗って艶やかで、口の中で溶けるように柔らかい蒲焼きにするためには、しっかり蒸すことが必要となる。 しかし、蒸せば蒸すほど柔らかくなるため、経験の少ない職人では、焼きの段階で身を落としてしまう。土用亭では、それほど柔らかくしているため、熟練の技が問われる。
焼きで一人前になるには一生かかると言われている。土用亭では、お客様から注文が入ってから、備長炭で高温にした焼き場で職人が目で見極めながら、短時間で焼き上げる。旨さを封じ込めるため、高温短時間で焼きあげるのが職人の技。焼いてはタレに付け、また焼く。これを繰り返すこと3回。見事にべっこう色の見た目にも美味しい蒲焼きが出来上がる。